こんにちは
朝晩の風が、少し涼しくなってきました。
長野では、日中はまだ暑くても、朝の空気や夕方の風に「秋」を感じる頃ですよね。
こんな時期になると、
「夏の疲れが抜けない」
「身体が重い」
「朝、喉が乾いている」
「肌がカサカサしてきた」
そんな変化を感じる方もいるのではないでしょうか。
季節が変われば、身体の状態も変わります。
東洋医学では、夏は「湿」、秋は「燥(乾燥)」が特徴的な季節だと考えます。
今はちょうど、夏の「湿」から秋の「燥」へ移っていく時期。
今回は、この季節に身体にどんな変化が起こりやすいのか、そして秋を元気に過ごすための養生についてお話ししていきます。

今は「夏」と「秋」の間
季節は、ある日突然切り替わるものではありません。
『温病条辨』という中国の古典には、長夏から初秋について、
「長夏初秋,湿中生熱」
とあります。
初秋には、まだ夏の「湿」の影響が残っている、という考え方です。
一方、秋については、
「秋燥者,秋金燥烈之気也」
と記されています。
秋は「燥」の季節。
つまり今は、夏の湿気が残っている身体に、秋の乾燥が少しずつ加わってくる時期なのです。
(『温病条辨』巻一)
この時期に「身体がなんとなく変だ」と感じるのは、季節の変化と無関係ではありません。
夏の疲れで「身体が重い」
日本の夏は、暑さだけでなく湿度も高くなります。
こちらの記事も参考にしてください。
東洋医学では、この「湿」を、身体の動きを重くするものとして考えます。
『湿熱病篇』では、湿が関係する症状として、
「身重頭痛」
「四肢倦怠」
つまり、身体が重い、だるい、といった状態が挙げられています。
(『湿熱病篇』第一条)
夏の間に、
- 冷たい飲み物が増えた
- 食欲が落ちた
- 冷房の中で過ごす時間が長かった
- あまり身体を動かさなかった
という方は、夏の疲れをそのまま秋まで持ち越しているかもしれません。
「涼しくなったのに、身体が重い」
そんなときは、まず夏の生活を少し振り返ってみましょう。
秋は「乾燥」に注意
そして、秋が深まってくると、今度は乾燥が気になってきます。
喉、鼻、肌。
特に朝起きたときに「喉が乾いている」と感じる方も増えてくるでしょう。
東洋医学では、秋の乾燥と肺を深く関係づけます。
ここでいう「肺」は、現代医学でいう肺だけを指すものではありません。
呼吸だけでなく、喉や鼻、皮膚など、身体の外側との関わりも含めて考える概念です。
『素問』には、
「肺主身之皮毛」
とあり、肺と身体の表面との関係が示されています。
(『素問』痿論篇第四十四)
だから秋の養生では、「呼吸器を守る」だけでなく、「身体の潤いを守る」という視点も大切になります。
秋の養生、まずはこの4つ
① 冷たいものを少し減らす
夏は冷たい飲み物や食べ物が増えます。
涼しくなってきたら、少しずつ常温や温かいものへ。
全部やめる必要はありません。
「今日は温かいお茶にしよう」
そのくらいから始めてみましょう。
② 食べすぎない
秋は「食欲の秋」。
おいしいものが増えて、ついつい食べすぎてしまいます。
わたしも先日のBBQで翌日まで体調がおかしくなってしまいました。
やはり腹八分目です、。
さらに、夏の疲れが残っているときは、胃腸も疲れていることがあります。
『素問』では養生について、
「食飮有節.起居有常.不妄作勞」
とあります。
食事を節度あるものにし、生活リズムを整え、無理をしすぎない。
とても基本的なことですが、これが養生の土台ですなんですよね。
(『素問』上古天眞論篇第一)
③ 少し歩く
暑くて外に出られなかった方も、涼しくなったら散歩を始めてみましょう。
激しい運動でなくて構いません。
「気持ちいい」と感じる程度に身体を動かす。
夏の間に落ちていた活動量を、少しずつ戻していきます。
④ 喉や肌の変化を見る
秋の身体は、乾燥のサインを出し始めます。
喉が乾く。
鼻が乾く。
肌がカサつく。
便が硬くなる。
こうした小さな変化に気づくことも、養生の一つです。
『温病条辨』でも、秋の乾燥が長引くことで乾いた咳が出ることが論じられています。
(『温病条辨』巻三・秋燥)
鍼灸では「秋だからこのツボ」ではありません
鍼灸では、季節だけを見て施術するわけではありません。
同じ秋でも、
「夏の疲れで身体が重い人」
「冷えを感じる人」
「喉や肌の乾燥が気になる人」
では、身体の状態が違います。
そこで鍼灸では、症状だけでなく、身体の冷えや熱、食欲、睡眠、舌や脈なども含めて全体を見ます。
これを「証をみる」といいます。
つまり、
「秋だから、このツボ」ではなく、「この人の今の身体には何が必要なのか」を考える。
これが東洋医学の特徴です。
秋は、身体の「衣替え」の季節
『霊枢』には、
「春生夏長.秋收冬藏.是氣之常也.人亦應之」
とあります。
春に芽生え、夏に成長し、秋に収め、冬に蓄える。
自然のリズムに、人も応じていくという考え方です。
(『霊枢』順気一日分為四時篇)
秋になったからといって、特別な健康法を始める必要はありません。
冷たいものを少し減らす。
食べすぎない。
よく眠る。
少し歩く。
そして、自分の身体の変化に気づく。
まずはそこからで十分です。
長野の秋を楽しみながら、身体も少しずつ「秋仕様」に整えていきましょう。
秋の養生Q&A
Q. 秋になると身体がだるくなるのはなぜ?
東洋医学では、初秋にはまだ夏の「湿」が残っていると考えます。
身体が重い、だるい、すっきりしないという方は、夏の疲れが残っていないか生活を振り返ってみましょう。
Q. 秋になると喉が乾くのは?
秋は「燥」の季節です。
東洋医学では秋の燥と肺を関係づけて考えます。喉や鼻、肌などの乾燥が気になる方は、睡眠や食事、室内の乾燥なども見直してみましょう。
Q. 秋は何を食べればいい?
「秋だからこれを食べれば健康になる」というものではありません。
まずは食べすぎないこと。冷たいものを取りすぎないこと。温かく消化しやすい食事を取り入れることを意識してみましょう。
Q. 秋はお灸をしたほうがいい?
秋だから全員がお灸をする、というものではありません。
冷えているのか、疲れているのか、乾燥しているのか。
その方の身体の状態を確認して、必要な施術を考えます。
Q. 季節の変わり目に毎年体調を崩します
「いつ頃から」「どんな症状が出るのか」を記録してみてください。
毎年同じ時期に不調が出るなら、症状が出てから対処するのではなく、その少し前から身体を整えておくことも大切です。
強い症状や長引く症状がある場合は、自己判断せず医療機関にもご相談ください。
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