夏バテで眠れないのはなぜ? 睡眠との深い関係を、お灸とよもぎでやさしく整える

この1週間で急に暑くなって日中はクーラーをつけないとやっていけなくなってしまいました。
ただ、夜は温度が下がる日もまだあるのでよいですが、今後はどうなってしまうんでしょうね。

というわけで今回は、毎晩ちゃんと寝ているはずなのに、朝すっきり起きられない。日中もだるくて食欲がわかない。その不調は、「夏バテ」と「睡眠の質の低下」についてまとめていきます。

この記事では、夏に眠りが浅くなる理由を、東洋医学と現代医学の両方から解説します。
そして、暮らしに取り入れやすいセルフケアとして「お灸」と「よもぎ」の力もご紹介します。

寝苦しい夜に東洋医学のお灸とよもぎ

夏バテは「暑さ」だけが原因ではありません

夏バテは正式な病名ではなく、さまざまな不調をまとめて指す言葉です。全身のだるさ、食欲の低下、胃もたれ、頭痛、めまい、そして不眠——。あてはまる方も多いのではないでしょうか。

原因は、暑さ・湿気・冷房・冷たい飲食・睡眠不足などが複雑に絡み合い、体を一定に保つ力(ホメオスタシス)が乱れること。つまり「暑いから疲れる」だけではないのです。

たとえば大量に汗をかくと、水分だけでなくナトリウムやカリウムなどのミネラルも失われ、血液の巡りが悪くなります。すると皮膚を冷やすために血液が体の表面へ集まり、その分だけ胃腸へまわる血流が減って、消化力が落ちる。食欲がなくなり、栄養が不足し、また疲れる——夏バテはこうして静かに深まっていきます。

とくに日本の夏は高温多湿。東洋医学ではこの湿気を「湿邪(しつじゃ)」と呼び、体が重い・むくむ・頭が重い・眠い、といった停滞のサインを起こすと考えます。

なぜ夏は眠れなくなるの?

人が自然に眠くなるのは、体の内部の温度=深部体温が下がるときです。眠る前、私たちは手足から熱を逃がし(放熱)、深部体温を下げていきます。

ところが夏は、眠りにとって三重苦がそろいます。

  • 気温が高く、熱が体の外へ逃げにくい
  • 湿度が高く、汗が乾かないため放熱できない
  • 冷房で冷やしすぎると血管が縮み、かえって眠りが浅くなる

だから「暑くて寝つけない」だけでなく、「冷やしすぎても眠れない」が同時に起こるのです。

冷房と「温度差」が自律神経を疲れさせる

もうひとつ見逃せないのが、自律神経の疲れです。自律神経には、活動モードの「交感神経」と、休息モードの「副交感神経」があり、体温や内臓を無意識に調整しています。

夏は、外の暑さと室内の冷房を一日に何度も行き来します。36℃の屋外から24℃の室内へ、また屋外へ——この温度差を繰り返すたびに自律神経は忙しく切り替わり、少しずつ疲弊していきます。これが近年注目される「温度差疲労」です。

自律神経が乱れると、夜になっても休息モードにうまく切り替わらず、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりします。「冷房で体が冷えて眠れない」の背景には、こうした神経の疲れも隠れているのです。

眠れない → 疲れがとれない、の悪循環

睡眠には、疲労回復・免疫の調整・ホルモン分泌・組織の修復といった大切な役割があります。眠りが浅いとこれらが十分に働かず、翌日さらに夏バテが進む——という悪循環に陥ります。

暑い → 汗をかく → 胃腸が弱る → 栄養が不足する → 疲れる → 眠れない → 回復しない。この輪をどこかで断ち切ることが、夏を元気に過ごすいちばんのカギです。

東洋医学が教える「夏の養生」

東洋医学では、夏は一年で最も 「気(エネルギー)」と「津液(体をうるおす水分)」を消耗しやすい季節とされます。汗をかきすぎると気も一緒に漏れ出て、だるさや動悸につながると考えられてきました。

古典『黄帝内経』も、夏の養生として「夜臥早起(よるはむりせず、あさははやく起きる)」を説き、気持ちをのびやかに保つことを大切にしています。無理に頑張りすぎない。

それ自体が夏の養生なのです。

また東洋医学では、睡眠は「心(しん)」「肝」「脾」「腎」といった体のさまざまな働きと結びつくと考えます。なかでも「心」は精神活動を司り、汗をかきすぎるとその働きが弱り、動悸や不眠につながるとされてきました。夏に眠りが乱れやすいのは、こうした古くからの知恵とも重なるのです。

お灸とよもぎは、実は同じものから生まれます

ここで登場するのが「お灸」です。お灸に使う 「もぐさ」は、よもぎの葉を乾燥させて作られています。道ばたにも生える身近な野草・よもぎが、体をやさしく温める道具へと姿を変えたもの。

それがお灸なのです。

お灸の温熱刺激には、次のような働きが期待されています。

  • 局所の血流をうながす
  • 筋肉のこわばりをゆるめる
  • 副交感神経(リラックスの神経)へ切り替わるのを助ける

強い睡眠障害や重い夏バテを「治す」ものではありませんが、日中は元気に活動し、夜は自然に眠るという体のリズムを整えるセルフケアとして、静かに寄り添ってくれます。

じんわりと広がる温もりに手を当てる時間そのものが、慌ただしい一日にひと呼吸おく合図になります。毎晩の小さな習慣として続けることが、乱れがちな夏の生活リズムを取り戻す助けにもなるでしょう。

今日からできる、夏の養生5つ

  1. 寝る1〜2時間前にぬるめのお風呂で一度体を温め、その後の放熱を促す
  2. 冷房は消すより、26〜28℃で一晩キープし、温度差による自律神経の疲れを減らす
  3. 冷たい飲み物より常温を選び、弱りやすい胃腸をいたわる
  4. 就寝前はスマホの光を控え、睡眠ホルモン「メラトニン」を守る
  5. 足首やお腹を、お灸でゆっくり温める

おわりに

夏の不調は、暑さ・湿気・冷房・睡眠の乱れが絡み合って生まれます。
だからこそ、体を内側から整える「養生」が必要になります。

じつはなのですが、わたしたちは、信州・諏訪の畑で耕作放棄地を活かしながら、無農薬でよもぎを育てています。今度収穫イベントもやるので良かったら来てください!

セルフケアだけでは追いつかないほど不調が続くときは、無理をせず専門家に頼るのもひとつの方法です。鍼灸院「きゅうときどきはり」では、一人ひとりの体の状態に合わせたお灸で、夏の巡りと眠りを整えるお手伝いをしています。この夏を、心地よく健やかに過ごしていきましょう。

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